※「常用漢字表」(平成22年11月30日内閣告示)(PDF形式)から一部を抜粋しています。
※文化庁サイトの参考資料「表外漢字字体表」にも、字体に関する様々な記載、解説(重複あり)があります。
常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体のうちの一種を例に用いて示した。現在,一般に使用されている明朝体の各種書体には,同じ字でありながら,微細なところで形の相違の見られるものがある。しかし,各種の明朝体を検討してみると,それらの相違はいずれも書体設計上の表現の差,すなわちデザインの違いに属する事柄であって,字体の違いではないと考えられるものである。つまり,それらの相違は,字体の上からは全く問題にする必要のないものである。以下に,分類して,その例を示す。
なお,ここに挙げているデザイン差は,現実に異なる字形がそれぞれ使われていて,かつ,その実態に配慮すると,字形の異なりを字体の違いと考えなくてもよいと判断したものである。すなわち,実態として存在する異字形を,デザインの差と,字体の差に分けて整理することがその趣旨であり,明朝体字形を新たに作り出す場合に適用し得るデザイン差の範囲を示したものではない。また,ここに挙げているデザイン差は,おおむね「筆写の楷書字形において見ることができる字形の異なり」と捉えることも可能である。
「特定の字種に適用されるデザイン差」とは,以下の(1)~(5)それぞれの字種にのみ適用されるデザイン差のことである。したがって,それぞれに具体的な字形として示されているデザイン差を他の字種にまで及ぼすことはできない。
なお,(4)に掲げる「𠮟」と「叱」は本来別字とされるが,その使用実態から見て,異体の関係にある同字と認めることができる。
常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体のうちの一種を例に用いて示した。このことは,これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであっても,1,2に示すように明朝体の字形と筆写の楷書の字形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。
さらに,印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差は,3に示すように,字体(文字の骨組み)の違いに及ぶ場合もある。
以下に,分類して,それぞれの例を示す。いずれも「明朝体―手書き(筆写の楷書)」という形で,左側に明朝体,右側にそれを手書きした例を示す。
以下に示す例で,括弧内は印刷文字である明朝体の字形に倣って書いたものであるが,筆写の楷書ではどちらの字形で書いても差し支えない。なお,括弧内の字形の方が,筆写字形としても一般的な場合がある。