「内」の印刷字体の変遷と表外漢字における取扱い


常用漢字の一つである「内」。
「冂+人」と書きます。
印刷字体も「冂+人」です。

ところが、当用漢字表が公表されたときには、
印刷字体は「冂+入」でした。

これは康熙字典でも同様です。


当用漢字表 国語審議会 答申 昭和21年11月5日
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin02/index.html


一部~口部
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin02/01.html

入部に「内」が例示されており、
字形は「冂+入」となっています。


当用漢字字体表 国語審議会 答申 昭和23年6月1日
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin05/index.html

[まえがき]には下記が記載されています。

「この表の字体の選定については,異体の統合,略体の採用,点画の整理などをはかるとともに,筆写の習慣,学習の難易をも考慮した。なお,印刷字体と筆写字体とをできるだけ一致させることをたてまえとした。」

このコンセプトの元、当用漢字字体表が作成されました。


当用漢字字体表 一部~刀部
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin05/01.html

ここでも、入部に「内」が例示されていますが、
字形は「冂+入」ではなく、「冂+人」とされました。

この字形の見直しは、「この表の字体の選定については」とあるように、当用漢字表に例示された漢字以外に応用されることが示されていないため、表外漢字の印刷字体については見直されず、今日に至っており、筆写字体との差異が顕在化している状態が続いていると考えられます。

以下の漢字などがこれに該当します。


吶 抐 肭 枘 汭 焫 芮 蚋 蜹 衲 訥 軜 鈉 靹 魶

漢検要覧に掲載されている表外漢字についても「標準字体」が示されていますが、筆写字体では「内(「冂+人」)」と書く部分が、「冂+入」となっています。

当用漢字字体表のコンセプト外にある表外漢字は、どのように書けば良いのでしょうか。

お気付きの点に関しては掲示板へお願いいたします。

キーワード:書き方 書き順 筆順

作成者: kakijun

漢字の正しい書き順(筆順)サイト、文字拡大サイトなどを運営する管理者 kakijun です。